高校生部門
受賞作品
文部科学大臣賞
『孤独な散歩者の夢想』
佐賀県佐賀星生学園
一ノ瀬 晴(1年生)
電子書籍ストアで偶然見つけた本が「孤独な散歩者の夢想」で、詩的な表紙とタイトルに惹かれました。自分だったら「なんとなく」で終わらせていた情緒を徹底的に掘り下げている本だったので、表現が面白く飽き性の自分でも引き込まれてしまいました。
どのように動画で表現するか迷いましたが、本書の文章から伝わってくる「静かな喪失感」を意識して”AI動画”と”自然音”を組み合わせたらうまく融合したので、まとまりのある仕上がりになったと思います。
審査員から
この作品は哲学的な内容を独自の視覚と聴覚の演出で表現しており、他の応募作品とは一線を画す構成力があります。特に、モノクロの絵が徐々に色を帯び、動き出す演出は、過去の哲学的な世界観を現代に蘇らせています。テロップと手描き風のイラストは作品の雰囲気にマッチし、その哲学的な深さをさらに際立たせています。全体として、この作品は視覚的にも聴覚的にもバランスが取れており、観る者をその世界に引き込む力を持っています。このユニークな表現は視聴者に強い印象を与え、作品についてもっと知りたくなる魅力を持っています。
最優秀賞
『今夜、世界からこの涙が消えても』
大阪府関西学院千里国際高等部
木下 明音(3年生)
この本を読んだ際は、登場人物に共感し、心を揺さぶられたのを覚えています。そのため、ブックトレーラーを作成することになったとき、すぐこの本が頭に浮かび、もっとみんなこの本を知ってほしいと思 いました。
動画ではこの本の儚い、切ない雰囲気を表現するため、BGMやフォントの種類にこだわりました。また、物語のなかで主人公たちが実際に訪れた場所や起こったこと、それぞれの登場人物の雰囲気を忠実に再現するため、写真や動画を選別しました。
審査員から
この作品は素晴らしい映画のワンシーンのように、シンプルな画面構成、手書きの文字、そして音楽のバランスが見事に調和しています。全体にアーティスティックな雰囲気が漂い、次の展開がどうなるのか想像するだけでワクワクします。映像はしっとりとしており、キャスト紹介も丁寧に作られていて、映画の予告編を見ているような感覚になります。この作品を見た後には、実際に映画を見たいと強く感じるほど引き込まれます。しかし、紹介されているのは実際には本であり、活字としての魅力をもう少し引き出す工夫があり、文字として読みたい気持ちをさらに刺激する方法があれば、作品の魅力がさらに増すでしょう。全体として、魅力的な映像と控えめな音楽が組み合わさって、視聴者を作 品の世界にすっと引き込む力を持っています。