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学生・一般部門
受賞作品
最優秀賞
『三体』
京都府京都芸術大学
リュウ シュンキョク
初めてこの「三体」を読んだ時、 作中に書かれる 2 つの文明の対立と人類がいかに無力であるかという点、技術や情報格差の影響を打破していく様子がこの作品の魅力だと感じました。今回の映像は 3 部作の第 1 部に当たるものです。
主人公が日常生活の中で異変に気づく過程、そして、その際の不安や信じがたい気持ちをアニメーションで表現したブックトレーラーになります。
審査員から
この作品は、効果的な音と印象的なイラストだけで構成されており、視覚と聴覚に訴えかけることで物語への興味を引き出す秀作です。アニメーションは非常に高品質で、主人公の目を通して見ているかのような映像と、テロップを使わずに動揺を表現する手法が素晴らしいです。数字を巧みに使い、言葉を極力省いた映像と音で緊迫感を増す構成は、視聴者を物語の世界に深く引き込みます。また、ラストでの時計の針の音の強弱は効果的であり、緊張感を高めています。ただし、物語の内容をより深く理解するためには、ストーリーのヒントになるシーンを追加すると、作品がさらに完成度を増すでしょう。特に、扉を開けた後の一瞬白くなる演出は、その間にも時間が減っていることを示す外の風景と合わせて、少し理解しにくい部分がありました。次に何が起こるのか、視聴者が期待できるような工夫が加えられれば、さらに素晴らしい作品になることでしょう。
優秀賞
『そしてレコードはまわる」』
佐賀県
中村 純一
作者が実在の音楽プロデューサーであり、音楽の制作現場が舞台となった音楽ミステリー小説ということでこの本を選びました。主人公である渋谷かえでがブックトレーラーのナレーションを担当するという設定にしたので、ボイス変換を行い、自分の声を女性に変えて、登場人物になりきって、本を紹介してみました。素材は自分で撮影しづらいシーンも多かったので、著作権フリーの動画を使いましたが加 工しながら使用するなど工夫しました。
『銀河鉄道の夜』
京都府京都芸術大学
杉山 美晴
「銀河鉄道の夜」の旅の風景に惹かれ、その部分を視覚的に表現した際の美しさに魅力を感じた為、そこに焦点を当ててブックトレーラーを制作しました。宮沢賢治の独特な死生観や思想が表れている表現が多かった為、自分なりに解釈してビジュアルに落とし込みました。
私はこの本を読んだときに幻想的で切ないけれど背中を押してもらえる、本の中から本の外の私へエールをくれる、そんな印象を抱きました。本の中だけで留まらず人生にも影響を与えていくような表現を目指しました。
準優秀賞
『動物会議』
神奈川県
阪内 恵
いまこの本が注目されて、ほんとうに動物たちの要求が人間に届いたらどんなによいでしょう。クスッと笑えるユーモアと一緒に、とてもとても大切なことが書かれている本です。
『生き物の死にざま』
京都府京都芸術大学
檜垣 彩佳
私が今回の作品で使用させていただいた本は 「生き物の死にざま」です。
「生き物の道理によって種を繁殖し生命を育んでいく 」という遺伝子に刻み込まれたサイクルが、 環境や時代が 変わっても行われている様子に惹かれたため 、この書籍を選びました。 工夫した点に関しましては、この「サイクル」 というキーワードから 生き物が道理を繰り返している姿を表現するために、 ゾートロープという繰り返し見れるアニメーションとかけ合わせて、 生き物たちのサイクルを作成しました。
『バムとケロのさむいあさ』
大阪府大阪女学院短期大学
梶原 春風
この本を選んだ理由は小さい子どもから大人まで誰でも楽しめる絵本で何回読んでも新しい発見が得られる面白さが気に入っているからです。主人公のバムとケロだけでなく脇役の小さな動物たちが細く描かれていたり、一つ一つの小物が可愛らしいデザインだったりと物語以外の部分も楽しめるのもポイントです。ブックトレーラーを作成する際に工夫した点は、絵を全て絵本と同じような色を使って手書きで描いたところです。絵本には描かれていない部分をあえて想像して描いてみたり、ナレーションを自分でつけるなど慣れないことに挑戦しながらも楽しんで作成しました。この本を通して変化の激しい現代社会から少し離れて「人生の楽しみ方」や「自分を楽しませるものは何か」を見つけて癒されていただけたらなと思います。
学生・一般部門 総評
辻 貴司先生
目を見張ったのはアニメーションの技術の高さです。しかも、一つとして同じようなものはなく、それぞれ作り手の色が出ていたのも驚きでした。動画の映像作品としての魅力と本自体の持つストーリーの魅力を融合させるために、これまでになかったような手法や演出のチャレンジも見られ、動画のレベルがまたひとつ上がったことを実感しました。
西澤 廣人先生
アニメーションや映像、イラストなど、それぞれが極めた技術を存分に発揮した作品は、圧倒的な完成度と独創性で観る者を魅了しました。本を愛し、子どもたちと同じようにこのコンテストを楽しんでいる姿勢も素晴らしいです。ぜひ、その制作プロセスやアイデアのヒントを共有し、次世代のクリエイターたちを刺激してください。若い世代にも大きなインスピレーションとなり、ブックフィルムを楽しむ人が増えると思います。来年の作品も楽しみにしています。
西山 光子元編集長・現出版プロデューサー
どの作品も入賞できる力量をもった質の高さがうかがえます。文字を使わず絵やイラスト、音楽&効果音だけで構成している作品が多く、各々の個性が際立っています。効果音で引き付けられる作品、ドキュメンタリー&ルポ風の手法を生かした作品など、オリジナル性の高さが引き付けられました。作品により、終わり方の工夫や丁寧なナレーションを心がけると、さらに良い作品になるでしょう。
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