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学生・一般部門
受賞作品

 


最優秀賞
 

 

『GOTH リストカット事件』

京都府 京都芸術大学

呉 邱雨萌

猟奇的な事件と青春──この二つの刺激的な要素を組み合わせながらも、淡々とした筆致で「人間の持つ暗黒面に強く惹かれる少年少女」の物語として紡ぎ出している点こそ、『GOTH リストカット事件』に惹かれる大きな魅力だと感じています。その日常の裏側に潜む歪んだ波のようなイメージを込めて、今回のブックトレーラーを制作しました。


審査員から
 

 この作品は、情報をあえて重ね、あふれさせることで作品の魅力を伝える、きわめて野心的な表現が際立っています。
 男性と女性の声、テキスト、映像が交錯し、すべてを一度で受け取りきれない構成そのものが、原作の濃密さや不穏さを感覚的に提示しています。
 赤と黒を基調とする画面設計も鮮烈で、冒頭から観る者を強くつかむ力があります。さらに、自作イラストを含む多層的な画面づくりには、実験映画のような意識的な演出が感じられます。単なる内容紹介ではなく、作品体験の一端を映像として再構成しようとする姿勢に、この作品の大きな価値があります。
 一方で、RPGゲーム風のセリフ表示は場面によっては説明が前に出すぎる印象もあり、そこを整理することで、作品の前衛性や緊張感はさらに際立つでしょう。

優秀賞

『パンに書かれた言葉』

神奈川県
阪内 恵

戦後80年「戦争のことを学ぶのは壁が高いけれど、もっと知っていたいし知らせたい」と思いながら検索し、この本に出会いました。主人公と旅をしながら過去の戦争を知り、思いに共感することができる一冊です。私たちは「言葉」の力で未来を明るくしていける、そんなイメージが伝わるように、光の映像をちりばめました。

『みにくいアヒルの子』

京都府 京都芸術大学
湯川 千潤 

ブックトレーラーを制作するにあたって、著作権フリーの青空文庫から「みにくいアヒルの子」を選びました。私が鳥好きなのもあって、制作するなら鳥のお話がいいなと思っていました。野生で生きる動物たちの残酷な部分をどう表現するか悩みました。アヒルの足の動き、ラストシーンの髪や服の揺れにこだわっているのでじっくり見ていただきたいです。

準優秀賞

『変な家 2』


京都府 京都芸術大学
出川 亜希

私が著者の作者である雨穴さんを知ったのが「変な家」で、これをきっかけに現在に至るまで多くの作品を生み出されている姿を応援していたため、今回ブックトレーラーを作るにあたってぜひこの方の作品の面白さをより伝えたいと思い製作時の最新作であったこの本を選びました。

『エデュケーション
―大学は私の人生を変えた―』


大阪府 大阪大学大学院 
Xu Chang

『エデュケーション:大学は私の人生を変えた』を選んだ理由は、著者の成長過程や葛藤が強く心に残り、多くの人が共感できる内容だと感じたからです。ブックトレーラーでは、物語の核心をすべて見せるのではなく、印象的な言葉や映像を用いて、「続きが知りたい」と思ってもらえるよう工夫しました。また、音楽とシーンのマッチングを意識し、本の持つ力強さと繊細さの両方が伝わるように頑張りました。

『アイネクライネナハトムジーク』 


京都府 京都芸術大学 
伊藤 真央 

『アイネクライネナハトムジーク』は伊坂幸太郎さんの中でもあまりみない恋愛系の小説です。もともと伊坂さんの短編が好きでよく読んでいたのですが、この本には伊坂節はもちろんのこと、素朴だけど共感できるリアルさがあって特に心を惹かれました。このブックトレーラーは、そんな日常の中の素朴な共感を表現できるように、爽やかだけど温かな雰囲気を意識しながら制作しました。

2026年 学生・一般部門 総評


辻 貴司先生
 
本の世界観を、文字による説明に頼るのではなく、映像・音楽・ワードなどを総合した全体のイメージで伝えようとする作品が多かった印象です。作り手が、本からどのようなインスピレーションを受けたのか、頭の中をのぞいているような感覚にもなり、とても楽しかったです。動画の世界観に共鳴できたら、きっと紹介された本にも共鳴できるような期待感がありました。

西澤 廣人先生

高い技術力と多様な表現技法に、圧倒される作品ばかりでした。多くのチャレンジを詰め込んだあと、あえて何かを「引く」ことで、最も伝えたいメッセージを研ぎ澄ませる——そんなストイックな編集作業が、作品を一段上のステージへ引き上げます。自分のこだわりを客観的に見つめる時間は、クリエイターとしての大きな成長に繋がるはずです。ぜひ来年も、さらに磨き上げられた表現でBFFの舞台に帰ってきてください。

西山 光子元編集長・現出版プロデューサー

視聴者を引き付ける魅力とは、どのような力でしょうか。それは原作者が生み出した主人公やテーマを深く理解し、ある時は共感し、ある時は反発するといった自分の思いを的確に表現することから始まります。この部門の多くの作品から、そうした制作者の姿勢が伝わってきましたが、ストーリーを追うだけといったものも見受けられました。本をしっかり読み込んで自分の思いをさまざまな手法で表現してみると、さらに良い作品ができると思います。

一般社団法人・ブックフィルムフェスティバル

BFF C
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